北遠フォレストピア「空と緑のふれあうロードパーク。」ほくえん百科事典空と緑のロードパーク計画
静岡県北遠(ほくえん)地域の背骨を通る「スーパー林道天竜線」を中心とする地域の文化・自然資源を結んだ形のない文化・レクレーション公園です。

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天竜林業の紹介

林業生産活動

しいたけ3兄弟平成9年度林業生産額は約59億円で、県全体の約3分の1を占めます。

  • 素材生産量  約15万立方メートル  57億2千万円
  • シイタケ等の特用林産物          1億9千万円

平成10年度造林面積は約160haで、次第に減少傾向をたどっています。

  • 昭和40年 1,178ha   昭和60年 301ha   平成2年 244ha

平成10年度間伐面積は約1,570haで、間伐適期齢級林分の減少と間伐材の不採算林分の存在が間伐促進を阻害しているのです。

  • 昭和56年 1,952ha   昭和60年 2,429ha   平成2年 1,569ha


    グラップルと林内作業車  架線
     間伐地でのグラップルと林内作業車による集材    皆伐地での架線による集材



コラム 21世紀の林業を切り開くための取組み事例

−低コスト林業経営の推進−

 

平成12年7月4日(火)天竜林業活性化センターの主催による「低コスト林業経営体現地検討会」と「低コスト林業生産システム実体調査報告会」が、北遠農林事務所管内で開催された。


日  程

■午前

低コスト林業経営体現地実態調査(天竜森林の会代表S氏山林)
 県道脇の土場から昨年度作設された集材作業路をたどり、路網の入れ方、集材作業路の作設方法等を学んだ。この現場の事例では、集材作業路は1,580円(m当り)の経費で作設し、作設した集材作業路と2.5トン積の林内作業車を組合わせた作業により素材生産経費は従来型より15%程の削減ができたとの報告があった。

■午後

低コスト林業生産システム実態調査報告会(北遠農林事務所会議室)
 昨年度県が調査した「地域材安定供給ネットワーク・モデル事業報告書」の概要報告を執筆を担当した静岡大学名誉教授の岩川治先生と、IF研究所の辻宏昌所長が行った後、3分科会に分かれ意見交換を行い、最後に分科会毎の報告とまとめを行った。
 分科会は、小型林業機械と集材作業路網による集材作業システムを技術的な面から検討した「第1分科会」、この集材作業システムを林業事業体に取り入れることを検討した「第2分科会」、この集材作業システムの地域への普及を検討した「第3分科会」の構成である。


低コスト林業とは

まず、ここで「低コスト林業の推進」とは何かをおさらいしてみよう。どの産業でもそうであるが、社会変化に対応した経営の合理化は必須であり、林業も例外ではない。しかし、林業にはワイヤーロープ、チェンソー、トラックに続く大きな技術革新はなく、人件費の上昇が林業生産経費を押し上げ続けてきた。しかし、昭和の終わり頃から高性能林業機械と小型林業機械の導入が図られ、一部地域では整備された基盤とこれらの機械を活かした集材作業システムの確立が可能となってきた。
 つまり「低コスト林業の推進」とは、この二つの機械化を推進し、林業生産経費を下げることである。また「低コスト林業経営体」とは、これらを含む方法により林業生産経費の削減の努力を重ねる森林所有者のグループであり、素材生産を行う森林組合や木材業者等の事業体であろう。
 なお、今回の現地検討会と調査報告会は、小型林業機械による集材作業システムを取り上げている。


第1分科会

第1分科会では、岩川先生と天竜フォレスターズ21のK代表をアドバイザーとし、小型林業機械と集材作業路網を中心とした集材作業システムを技術的な面から検討した。

■路幅と勾配

「集材作業路」の話しをしていると「作業道」と混線することがあるが、この二つは似ていて全く非なるものである。集材作業路とは架線の機能であり、作業道を始めとする車道ではないことを認識する必要がある。従って、集材作業路は、導入する林内作業車(=搬機)に見合った路幅と勾配で良いと岩川先生は日頃から説かれている。
 一方、森林所有者からするとどうであるか。K代表は、各地の事例を調査した上で、後々を考え軽トラックの入れる1.7m幅の勾配の緩い路の作設を行っている。また勾配が急であると排水対策が必要となり、自分で修繕できない場合が余分な出費を伴うと言う。これは、自家労働を基本とする場合の一つの考え方と思われる。
 事業体として取り組んできた天竜市森林組合からは、勾配を緩くすると延長が伸びて作設費がかかることと、搬出時間が長くなるためのコスト増につながるとの意見が出された。

■林内作業車の大きさ

岩川先生は、林内作業車の選定のポイントは作業者が楽な方法を取るのか、効率が上がる方法を取るのかだと言う。
 自家労働の場合は、前者の方法により、機械償却費の安い小型のもので、時間をかけて搬出した方が有利と提案している。天竜フォレスターズ21では、柱材の生産が主体であり、自家労働を主体とするため、価格の安い1トン積の林内作業車を5台導入している。K代表は、林内作業車は買ったその日から使えると言う。
 一方、天竜森林の会では、資源内容が大径材に移りつつあり、地域の素材生産業者との連携が図れているので、2.5トン積の林内作業車を導入し効率の上がる方法を目指している。
 今年度立ち上げを予定している春野町のH2O林業グループは、価格の安いスギが資源の主体であるので、生産量で補う計画である。そため、天竜市と較べると緩い傾斜を活かし、小型トラックが入れる作業路の作設も目論んでいる。

■利用計画に基づいて

路幅と勾配、林内作業車の大きさの決定は、地形、資源内容、作業形態などの与件を考慮して総合的に決定することが大切である。特に自家労働としやって行くのか、事業体としてやって行くのかでは大きく異なるので、それぞれの利用計画に基づいて検討することが重要である。


第2分科会

第2分科会では、IF研究所の辻所長と天竜森林の会のI氏をアドバイザーとし、小型林業機械と集材作業路網による集材作業システムを林業事業体に取り入れることについて検討をした。

■素材生産業者との連携

天竜森林の会の特色は、地域で素材生産業を営む有限会社天竜フォレスター(注意:天竜フォレスターズ21とは異なる)との連携である。有限会社天竜フォレスターは、法人会員として天竜森林の会に参画している。
 天竜森林の会の作業形態は自家労働を基本としているが、高度な技術を要する箇所(面倒な箇所)は会員から有限会社天竜フォレスターへの委託である。また、自家労働では手に余る部分は有限会社天竜フォレスターがサポートするとともに、有限会社天竜フォレスターが伐倒やオペレーター研修を行うことにより会員の技術向上を図っている。こうした共同作業や研修により、相互のパートナーシップが築かれている点が組織の運営面、いやこれからの林業を考える上で注目される。

■遜色のない効率

また有限会社天竜フォレスターが会員から受託した林業生産の事例では、一人当たりの生産量は3.5m3であった。これを林野庁が公表している「高性能林業機械化促進基本方針」の「高性能林業機械作業システムの目標」と比較すると、作業システムは異なるが遜色のない成果を上げていると見て良いと思われる。

天竜森林の会
(伐倒) (木寄せ) (搬出)
チェンソー グラップル 林内作業車

[短幹集材]  生産性:3.5m3/人

林業機械作業システムの目標
(伐倒・造材) (搬出)
チェンソー 小型タワーヤーダ

[短幹集材]  生産性:3.5m3/人
条件:作業分散地、急傾斜地、集材距離(〜200m)

 天竜地域の森林組合等の事業体でも、従来から1トン積の林内作業車は導入されていたが、積載量が大きく、かつ、スピードの速い2トン以上の林内作業車の導入を事業体としても進めることが有効ではないか。
 「低コストの鍵は、昔からある技術を含めて適切な作業システムを選ぶことである。どれが正解かはない。」と、天竜森林の会のI氏は最後に結んだ。


第3分科会

第3分科会では、天竜森林の会のS代表と天竜フォレスターズ21のS氏をアドバイザーとし、小型林業機械と集材作業路網による集材作業システムの地域への普及について検討をした。

■実績を上げる

 天竜森林の会のS代表は、発足後地域外に住む森林所有者が3人加入した。少しずつではあるが地域理解も高まっているが、集材作業路作設は所有関係の単純なところからとなっていると言う。こうしたことは、天竜フォレスターズ21を始めどこでも共通した課題のようである。
 集材作業路を作設して行く上で隣接所有者の理解を得るのは大変であり、そのためにもこの作業システムの地域への普及は大切である。また、その方法は、実績をあげていく方法がベストのようだ。この作業システムの更なる検証と、グループ間の情報交換の必要性が提案された。

■林内道路がなければ

春野町で初めてこのシステムを導入するH2O林業グループでは、この作業システムが自家労働で林業生産が可能な点をきっかけとして上げている。参画した会員の森林には、自力を含む林内道路網が整備されていることも最低条件の一つである。従って、地域への普及を図るためには、こうした最低条件をクリアすることが課題である。
 参加した森林所有者からは、効率と安全性を考えた場合、一人作業よりも二人作業の方が効率的であり、安全であるとの意見も出された。協業化を含め今後の課題として残った。


まとめ

調査報告会のまとめで岩川先生は、高性能林業機械又は小型林業機械が活かされる条件として、林道・作業道を合わせてヘクタール当たり28mの林内道路密度が必要と説かれた。これだけの基盤が整えば、作業現場のロットなどの条件により、どちらの選択も可能となるようだ。
 今回の調査報告でも、28mを超える林内道路が整備されている龍山村の全域と天竜市の一部では、小型林業機械による天竜森林の会・天竜フォレスターズ21や、高性能林業機械を含む龍山村森林組合の生産活動の優位性が検証された。
 それでは林内道路が28mに届かないところはどうしたら良いのか。岩川先生は、林道から作業道へ主役を移すことによって緊急に対応できると力説されていた。それには、山村側から作業道を中心とした基盤整備の要望に切り替えることが、わずかな明かりを見つけ出す鍵になるであろう。
 最後にIF研究所の辻所長は、分科会では多くの課題を掘起こしたが、これを乗越えて低コスト林業生産システムが普及して欲しいとエールが送られ閉会となった。

(文責:北遠農林事務所森林整備課)



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