はじめてのシャントの風船治療(2)

シャントの風船治療が済み、

だけど手術に使った針は抜かないままに透析の時間を待つ。

針を腕に刺したまま、待合室に腰掛けているのも恐いモノだ。

が、その後にもっと恐いことが待っていようとは・・・・・。

「それじゃ、そろそろ始めましょうか」

透析の仕度も整った。

「痛かった?」

「とぉっても」

看護婦さんがいつものように聴診器でシャント音を確認する。

 

え?看護婦さんの表情が陰った。 確かに陰った!

 

心なしか早足で別の看護婦さんを呼びに行く。

どうした?アクシデントか? アクシデントだな。

 

シャント音が聞こえない!

ほんとだ、触っただけで解る。

いつもならシャンシャンという勢いの良い感触があるのに、 まったく感触がない。

え?どうするんだ? シャント手術のやり直し?

え〜、やだよ、勘弁してくれよ・・・・。

 

看護婦さんが先生を呼びに行く。

婦長さんが来た、臨床検査技師が来た、手術室の看護婦さんも来た。

 

手術室の看護婦さんがマッサージを始めた。

手首の吻合部から肘の方へ向かって、血管をグリグリさせながら、

痛いかどうかなんて聞かない、かなりキツイめのマッサージだ。

しばらくマッサージを施すうち、

「あ、大丈夫、もう大丈夫」

看護婦さんの顔に余裕が見えた。

先生は慌てた様子もなく、

「詰まっとったんやね」

 

そういえば止血のバンドがかなりキツかった。

痛いくらいにキツかった、そのせいか?

それにしたってキツく押さえたくらいで止まっちゃうものなのか?

 

「良かったぁ」

「びっくりしたねぇ、音がしないだもんね」

看護婦さんと喜びを分かちあい、 やっとのことで透析開始の準備に入る。

採血側は風船治療の際の針を使い、 返血側は新しく針を刺す。

「じゃ、針刺していきます」

「5本目だよ・・・、泣いちゃいそう」

「これで、今日は最後ね」

「もうそこの麻酔シール、時間が経ち過ぎちゃったね・・・」

麻酔シールは2時間前を目安としているが、もう3時間を経過している。

が、もう痛いんだか、どうなんだか、腕中じんじんしていてよく解らない。

 

「3時10分、透析スタートね」

「はい、ありがとう」

 

5本目、これで最後のはずだった・・・・・。

 

「ちょっとゆっくりめで1600で回すね」

風船治療とシャント詰まりの後だけに、

血流の量を普段は2000ml/mのところ1600ml/mでスタートした。

 

短時間に襲いかかられた絶望的騒動から解放され、

(そもそも注射をすること事態が絶望的で・・・^^;)、

ぁあ、良かったぁ、済んだぁ、と静かに目を閉じる。

 

と、透析機のブザーが鳴る!

またか!

またアクシデントか?

看護婦さんが慌てて戻ってくる。

「1600でもダメだ・・・・・、1200にしてみるね」

ぁあああ、ググググゥって来た!

血管の悲鳴だ。 前にもあった血流が確保できない時の血管の反応だ。

ググググゥググググゥという、いやぁ~な感触だ、いやぁ~な。

 

また手術室の看護婦さんの登場だ。

先生も来た。

何やら機具を持ち出し、 どの程度の血流が確保できるのかを調べ始めた。

「ダメです、コラテに入っているのかもしれません」

「そうか、コラテか。それでちゃんと届かへんかったんや」

 

「血流も確保できません、打ち直しですね」

ぇええええ!打ち直すって針をぉ?

(と、そうは大声で言わない哀しい優等生患者・・・・)

「わかりました」

もう針を刺すところは上腕部しか残っていない。

でも上腕部は先頃の止血失敗で腫れ上がった紫色が、

まだ完全には消え去らない状態で・・・・。

何より、そこに麻酔のシールは貼ってないわけで・・・。

と、グズグズ思っているうちに上腕部が消毒され、

再び全身汗びっしょりが早いか否か、針が刺される。

 

風船治療の際に、

管がコラテ(本流ではない血路)に入っていってしまうからって、

管を入れる針を手首に打ち直したけど、

その針がコラテ側に刺されてたってこと?

なんだかなぁ、針刺され損みたいな話だなぁ。

 

「今度こそ、最後ね」

「6本め、出血大サービスだよ、1週間分^^;」

 

今度こそ、今度こそ、静かに目を閉じて、

ズタズタでジンジンする左腕を痛みや緊張や恐怖から解放する。

 

風船治療にも透析にもケチつきまくりの顛末でした。

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