「常磐線の泉駅で降りて下さい」
仕事の都合で、福島へ出かけることになりそうだ。
常磐線の泉駅って言われてもさっぱり見当はつかないので、
「福島県の臨時透析を受け入れてくれる病院のリストを下さい」
福島県と大きく括ってリストをもらえるようお願いした。
病院同士のネットワークがあるのかどうかは知らないが、
そういうリストは病院で持っているからいつもコピーしてもらう。
そして、地図とネットと首っ引きで透析病院を決めていく。
病院側は、リストはくれるけど、それ以上には関与しない。
自分で病院を決めて、自分で連絡して、予約を取るのだ。
病院を紹介すると何か面倒なことがあるのかな?
あくまでも患者の責任で臨時透析の受け入れを打診する。
「常磐線の泉駅って何市?」
看護婦さんから尋ねられる。
「ごめんね、知らないだよ・・・・・・」
病院側もあたりをつけるのにもう少し絞り込みたいようだ。
海に近い方なはずだし、
地震速報ですっかり「浜通り」という地方名を覚えたので、
「浜通り」とか適当に言おうと思ったが、それも無責任だ。
出張先に何市か尋ねる。
「いわき市です」
「仕事済んだら、鶴ヶ城見に行けますか?」
ついでに聞いてみる。
「残念ですが、130km、2時間くらいかかります」
「東電の原発は?」
「1時間ちょっとですが・・・・・・」
行っちゃ行けないんだっけ?
どの辺まで近づけるんだっけ?
ニュースを親身に聞いていないことが露呈する・・・・・。
せめて、いわき市の海岸線は見に行こうと思った。
これまで、
気仙沼・陸前高田・大船渡・釜石・大槌・山田・宮古と被災地に足を運んだ。
その地に立ってみなければ感じられないことがある。
言葉に尽くしがたい思いに心をふさがれる。
しかし、それも時間の経過の中で風化してしまう。
せっかくの機会だから、海岸線に足を向けよう。
海の幸でもお土産に買うとしよう。
海の幸って塩っ辛いものが多くて、減塩にはまったく不向きだけど、
それでも被災地で、たとえわずかでも、買い物をしよう。
そういえば、常磐ハワイは、いわき市じゃなかったっけ?
(つづく)