「お布団から、シャント出しておいてね」
看護婦さんから指摘される。
透析が始まると、どういうわけかいつも寒気がして、
布団も夏でも胸まで掛けている。しかも一年中冬のパジャマを着て。
当然、シャント側の腕にも布団をかけている。
「透析中のシャント肢・回路接続部に掛け物はせず、常時観察できる状態」
にしておくように、と印刷物でお知らせまで廻ってきた。
確か以前に何かで読んだことがある。
シャント部に布団を掛けていると、ひょっとして出血等があっても気づかず、
手遅れになってしまう恐れがあると。
「手遅れ」って?
「死」ってこと?
そういう記事を読んでいながら、寒いからって布団を掛ける。
看護婦さんも特に何も言わないから、まぁいいか、って布団を掛ける。
という状態だったのだが、掛け物をしないようにとのお達しだ。
今さらながらの感があるが、何かあったのかな?
まさか、この病院で?
夜の部は、働きながら透析を受けている人が多いためか、
みな、ちょっと見には透析患者だとは想像しにくさを持って居る。が、
昼の部は、比較的高齢の方も多く、杖だったり車椅子だったりを
頼りにしている人も多い。
根拠の無い推測だが、昼の部には気づかずの事故も多そうな。
いずれにしても、透析事故に遭わぬよう、
病院から指示されることで納得がいくことは、積極的に支持していこう。
なにかあれば全面的に病院に頼るしかないのだから。
手が冷たいなぁ、とか思いながら5時間、布団を掛けずに過ごす。