腎臓が悲鳴を上げた

「お父さん、お医者さんから呼び出しがあったけど・・・」

妻が電話でそう言う。

なんで?

医者は同級生だ。直接電話くれればいいのに、よっぽど良くない知らせか?

そもそも足が痛くて、接骨医に通っていた。

こちらもまた同級生だ(同級生はありがたい)。

 

「おまえ、足がむくんでいるぞ。これは内臓が悪いな。ちゃんと診てもらえ」

と威かされて、内科医の同級生を訪ねたのが、きっかけだった。

 

血圧の降下剤は以前から処方してもらっていたが、

それ以外別に内臓のどこかが痛いわけでもかゆいわけでもないので、

まずは血液検査してみてからだ、ということで検査結果待ちだった。

 

慌てて会社の帰りに医者を訪ねる。

「女房から聞いたけど、どこかよっぽど悪いのか?」

「うん、腎臓が・・・・・・・・」

「腎臓が?」

「かなり悪い」

「かなり?」

「いずれ透析が必要になると思う」

「透析・・・・・」

「すぐじゃないけど」

 

 

頭の中が真っ白になってしまった。

 

 

透析?

透析って、あの透析か?

透析してる人は黄疸が出て顔色が悪く、いかにも不健康で・・・・・って、

なぜかそういうイメージしか持っていなかった。

正しい知識は何も持っていなかった。

 

そうなったら、おしまいじゃん。

でもまだ、先の話って言ったな、まだ何とかなるのか?

少しずつ思考回路が動き始めた。

 

「どうすればいい?」

「体重落として、減塩して、・・・・・・」

「薬はないのか?」

「今まで通りでいい」

 

塩分は一日8g以下に押さえて、

体重を少なくても10kgは落として、

 

無理じゃん・・・・・・

 

毎晩のように、仕事だったり、つきあいだったり、夜遅くまで飲み食いしていた。

身長164cmで83kgの体重があった。

顔はまん丸で、お腹はぽんぽこりんだった。

 

塩分8gで、10kgのダイエット、って。

 

「分かった、ありがと・・・・・・・・」

 

絶望的な気持ちで帰路についた。

家では、妻が心配して待っているだろう。

 

つづく

 







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