狭心症だったの?

あの日、呼吸が苦しくて目が覚めたあの日、(この日

それをきっかけにして透析治療へとなだれ込んで来てしまった。

 

透析が始まってからは苦しくなることもなく、

のど元を過ぎたことは忘れ去ってしまっていた、ある日のこと。

胸が苦しくなったのだ。

 

階段を駆け下り、早足で歩いていたら、

胸が痛いような、切ないような、息が苦しいような、

以前にも覚えのある、そのまま歩き続けることが阻まれるような症状だ。

 

一緒だ。

透析になる前、犬の散歩とかちょっと動きが大きい時に襲われた苦しさと同じだ。

どうしたんだ?解決してたんじゃないのか?

 

そして、それは繰り返すようになった。

 

「先生、胸が苦しくなるんです」

「心電図もレントゲンもいいし、おかしいなぁ」

「今はいいですが、この辺(胸のあたり)が苦しくなるんです」

強めに訴えた。

「専門医に診てもらいましょう」

 

同級生の循環器科の先生を訪ねて症状を説明する。

「透析になっちゃったの?いつから?」

「もう一年が過ぎたよ

「そう・・・。調子はどう?」

「特に問題ないと思う、息が苦しくなること以外は」

 

レントゲンと心電図と心エコー撮って、

「異常ないね」

「でも、苦しいし」

「狭心症だろうと思う」

心臓に血液を運ぶ血管のどこかが狭くなってしまっているらしい。

 

「うちじゃこれ以上検査できないけど、原因を特定しておいた方がイイね。」

「どういう検査?」

「心臓カテーテルとか・・・」

「恐そう・・・・。」

「運動しながら心臓の動きを診るとか・・・」

「放っておいちゃダメ?」

「そうすると、いずれ血管が詰まって心筋梗塞だよ。」

「検査、受けるよ。」

 

紹介状を書いてもらい、市民病院へ行く。

 

「今日は、このまま入院できますか?」

「え?今日?今日ですか?」

「なるべく早いに超したことはありません」

そんな・・・・・

「そんなに急を要しますか?」

「いつ心筋梗塞がおきてもおかしくありません」

あんまりきっぱり言われてたじろいだ。

この先生、マスクではっきりは解らないけど、

ずいぶんお若くお美しい女医さんのように見受けられるのに、厳しい。

 

総合市立病院で、血液検査・心電図・心臓エコーの検査後に、

先生の問診を受けていた。

「心臓の働きに問題は無いですね」

「それが昨夜、ボクシングを見ていたら苦しくなりまして・・・」

内藤大介vs亀田弘毅のタイトルマッチは興奮した^^;

「その後、お風呂に入る時も、二階の寝室に行く時も、で

3回も苦しくなりました。こんなことは初めてですが」

そう言ったら、先生、急に態度を変えて、即入院と言い出した。

 

そんなこと言ったって、いくらなんだって、今日の今日は無理。

なんとか来週にしてもらった。

 

「血管を広げる薬といざという時のためにニトロを処方します」

ニトロって、テレビなんかで見たことあるけど。

心臓が悪い人とかがペンダントか何かに入れて首から提げてる、あれだ。

「苦しくなったら舌の下に一錠含んで下さい」

「飲んじゃダメですか?」

「構わないけど、舌の下が効きます」

「1錠ですね」

なんだか恐い薬に思えてきて慎重に聞き返す。

「1錠で効かなければ2錠、15分経っても楽にならなければ救急車で来て」

なんだかおおごとになってきた感じがするなぁ。

 

「先生、来週、ちょっと緊張する場面が2度あるんですが」

「大変・・、血管を広げるシールを持って行って。緊張の前に胸に貼って」

「はい、ありがとうございます」

 

どっさり薬を処方してもらって、すっかり病人気分で病院を後にする。

 

爆弾を抱えてるんだなぁ。

胸がキュンとなったら、それっきり逝っちゃうかもしれないわけで・・・。

 

それにしても、この胸の苦しさが引き金で透析に突入したのに、

この胸の苦しさは、腎臓じゃなくて、狭心症だったの?

 

つづく

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