「傷病手当の調整が必要ですので、障害者年金の受給額を教えて下さい」
健康保険組合から電話が入る。
「調整」というのは受給額が多くなりすぎないように減らすということなのだが。
心臓バイパス手術を受けた際、会社を3ヶ月ほど休んだ。
その傷病手当を健康保険組合に請求したときのことだった。
障害者年金は「人工透析」がその理由で受給しているが、
今回の傷病手当の請求は「心臓冠動脈バイパス手術」が理由であって、
まったく違う傷病なのだから調整の必要は無いように思うのだが。
「どうしてですか?」
「請求書類の傷病名のところに両方の傷病名が書かれています」
「でも、あきらかに原因が違いますから・・・・」
傷病手当が減らされちゃったんじゃ辛いので抵抗する。
「それでしたら、請求書類を送り返しますので訂正印で削除して下さい」
「はい、わかりました」
「そのうえで、医療機関に確認します」
「はい、お手数おかけします」
良かったぁ、胸をなで下ろす。
透析を受けている病院で、傷病手当請求書類の「医師の意見欄」を書いてもらった。
心臓バイパス手術を受けて会社を休むと伝えてはあったものの、
先生は当然のように「人工透析」も書き加えたのだろう。
それを確認しなかった自分もうっかりだが、
確認したとしても疑問に思わなかったかもしれない。
先生が書いたことだし、透析を受けていることは事実だし、・・・。
そしてそれは障害年金と同じ傷病名だから健保組合では事務的に調整しようとした。
それはそれで当然だ。
待ったをしなければ、傷病手当は調整されていた。
その時点で正しい知識を持っていたわけではないが、
おかしいと感じなければ、それまでのことになってしまう。
社会保障の制度は、弱者救済が目的なんだろうけど、
弱者に優しくはないなぁ。
それにしても、訂正印で削除すれば良いだなんて、それもまた事務的だ。