今年も日比谷野外音楽堂(野音)で、
こうせつのコンサートに興じる時が来た。
「南こうせつ グリーンパラダイス 第23回」
東京駅から歩いて野音へ向かう。
♪石ころだらけの この道を
「幼い日に」を口ずさんで歩く。
夏の野外コンサートは「幼い日に」だよなぁ。
って、まだ夏じゃないし、東京は人だらけだけど。
少しくらい大きな声で歌っても東京の人は振り向いたりしない。
それが東京なんだなぁ。
35年ほど前、東京で働き始めたこやまんを水虫が襲った。
革靴を一日履きっぱなしの暑い日が何日も続くうちに、
それはそれは強烈な水虫に襲われてしまったのだ。
その治療のために、町医者から東大病院を紹介され、
赤門をくぐって東京大学へ通った(治療にね)。
治療は、足の裏の皮を一枚剥ぎ取るという荒療治に及んだ。
(荒療治だと私は勝手に思っているのだが・・・)
何か薬を塗って、皮を浮かせ、少しづつ剥ぎ取るのだが、
まだ皮膚が生きている箇所もあり、
そこを剥ぎ取るときの痛みといったら・・・・・
とうとう気絶してしまったほど。
その治療中、足は包帯ぐるぐるで靴が履けない。
仕方なく、草履をつっかけて新宿・赤坂・本郷辺りを歩いていた。
もちろん、スーツ姿で、ですよ。
それでも、当時でも東京の人は振り向きません。
ましてや、今の東京の人なら、
少しくらい大きな声で歌っていたところで、どうってことありません。
♪みんなどこへ向かって歩いているの
かぐや姫の歌なども口ずさみます。
グリーンパラダイスに来ると、
東京で働いていた頃のことが思い出されてならない。
あこがれの街、東京
若者を飲み込んだ街、東京
眠らない街、東京
夢が嘘をつく街、東京
誰もが故郷を想う街、東京
野音の舞台の後ろの方にそびえ立つビルの窓に明かりがともる。
今宵も誰かが明日を夢見て額に汗して働くのだろうか。
もう僕は闘えないけど、闘う若者にはエールを送りたい。
♪自由な自由なお城を造ろうと
歌に連れられて思い出されるシーン、
歌に刺激されて思い描くシーン、
思い浮かぶあの人、この人、
これからのこと・・・
♪いいさ俺には俺の覚悟がある
今年も歌って跳ねて叫んで泣いて、
グリーンパラダイスの夜は更けていきました。