「初めてなんですけど、私が補助させてもらいますので、いいですか?」
「はい、どうぞ」(って、イヤだとは言えないでしょ、ふつう)
初めて透析の針を刺すという看護婦さんの登場で、
いつもの看護婦さんが補助につくから、穿刺させてもらっていいか、という。
断る理由もないし、
誰しも”初めて”の時はあるものだし、
これから永いおつきあいになるのだろうから、
無難に乗り越えてもらうにこしたことはないし、
幸い、今宵は、ペンレス(麻酔シール)も早くに貼ってきたし、
シャントに掻き傷もほとんどないし、
(痒みを我慢できず、掻きむしっちゃうことがある・・・・・)
たとえ痛くても大声上げたりはしないし、
どうぞ、緊張せずにリラックスしてやり遂げて下さい。
いろいろ考えているうちに、
こっちの緊張が高まってきて・・・・・・・
「よろしくお願いします」
「こちらこそ、お手柔らかに」
私は、針の刺さるところを見ていることができない。
怖いから ^^;
だから、針を刺される時は、あっちの方を向いているのだけれど、
おそらくその時、視線は宙を浮いたようになってしまっているものと思われ、
それをお断りしておかないと、何か妙な誤解をされるのでは、と、
そんなことをつらつらと思っているうちに、
「それでは、刺します」
「あっ、ハイ、どうぞ、お願いします」
緊張が高まる。
歯を食いしばる。
痛いかどうか解らないけど、歯を食いしばるのは習慣だ。
汗がにじむ。
「はい、2本目いきます」
「ハイ」
こちらの緊張を余所に、
新人看護婦さんはわりと冷静に無難に穿刺を終えた。
「針先、大丈夫ですか?」
「はい、全然痛くなかったですよ、ありがとう」
「ありがとうございました」
初めての穿刺の実験台に抜擢されて、とても光栄です。
どうか、穿刺の上手な看護婦さんになって下さい。