61歳のスタート

60歳で定年退職して一年が過ぎた。

会社に行くこともなく、
働きに出ることもなく、
これといって決まったことをするでもなく、
失業保険と障害者年金での暮らしの一年が過ぎた。

あれ?もう一年過ぎちゃった。

それが正直な感想だ。

毎日やることがなくて暇で暇でしょうがないら。
そう言って心配してくれる人が居る。

65歳までは会社で働かせてもらえないのか。
そう言って働かないことを責める人が居る。

いいよなお金がある人は遊んで暮らせて。
そう言って羨ましがる人が居る。

自分から動かないと何も起こらないぞ。
そう言って遊びに来てくれる人が居る。

自分の人生だもん、やりたいことをやればいいさ。
そう言って再雇用を選んだ人が居る。

働かにゃ食っていけないからさ。
そう言って会社の愚痴をこぼす人が居る。

いいよ、こやまんにはギターやトレッキングがあって。
そう言って自分に趣味がないことを嘆く人が居る。

何もしないとボケちゃうよ。
そう言って責めるように心配してくれる人が居る。

で、毎日なにしてるわけ?
そう言って何かを期待するかのように尋ねる人が居る。

「何にもしてないよ、これといってね」

そう応えることが自然に、やっとなってきた、一年過ぎて。
そう応えることに抵抗感がなくなってきた、やっと。

ずっと、
何もしないでいることが罪悪のような気がしていた。
それは誰かに気兼ねするからなのか?女房か?家族か?近所の人か?

何か決まったサイクルを作らなくちゃいけないような気がしていた。
スポーツジムに顔を出してみたり、
カルチャーセンターの講座に顔を出してみたり、
畑での野菜作りや庭の手入れに手を出してみたり、
ウォーキングとかスイミングとかに出かけてみたり、

でも、どれも長続きせず・・・・・・・

それでも一年経つうちに、
やったりやらなかったりで別にいいじゃないか。
そう思うことに抵抗がなくなり、自然にそう思えるようになってきた。

いつも、何か言われるたび、いちいち弁解のように答えてきたが、
それも「まぁ、いいか」と思えるようになってきた。

例えば、
「いいよなお金がある人は遊んで暮らせて」
って、そう言われれば、
「お金があるわけじゃ無いだよ、だって考えてもみてくれよ、・・・・・」
って、いかにお金がないか、言い訳を並べ立てていた。
それが、
「ありがと。それでも働き出したら、あいつ食えなんだって笑ってくれ」
とか答えるだけで笑ってすませるようになってきた。

働かないでいることに、
特に日々何もしないでいることに、
慣れてきたのかな。

きっとそうに違いない。

もちろん、何もしないって言ったって、

年に1度は同級生と旅行に行くし、
年に1度は南こうせつのコンサートに行くし、
ひと月に2~3度のフォークソングのライブと、
季節が良ければ、月に1~2度のトレッキングと、
2~3か月に1度くらいディズニーランドヘ行くし、
畑に出て野菜や果物を収穫するし、
ごくたまに畑仕事を手伝うし、
ひとりの時の昼ごはんを作るし、
洗濯物は仕舞うし、
週に1度は家の掃除もするし、
気が向けば小一時間のウォーキングに出るし、
プールに行くこともあるし、
図書館に出かけたり、本を読んだり、映画を見たり、etc…

もちろん、一日おきに透析に通うわけだし、
ゴロゴロばかりしているわけではない。

そのうち、そんな中で、何かに火がついて、
夢中になるようなこともあるかもしれない。

それとも、
夢中になって取り組む性分じゃないのかもしれない。

まぁ、今は、
何かをしなくちゃならないような気持ちに追い立てられもせず、
何もしないでいることに不安を覚えることもなく、
とても気分が安定しているように思えるので、
しばらくはこのままかな。

それでも、70歳くらいまでだろう人生のゴールデンタイムは、
このままじゃもったいないようにも思える、61歳のスタートだ。

“61歳のスタート” への8件の返信

  1. こやまんさんご無沙汰しております。

    私は定年まではまだ9年あります^^
    ですが、なぜか少しお気持ちがわかるような^^

    おそらく私は65才までは働くのかなぁって思っています。
    経済的にも、これといった趣味もないですから
    また、腎不全の保存期という事で運動も気が向いた時にウォーキングに出かけるぐらいで・・・
    体を動かす事が怖くて何かにチャレンジできない気持ちが自分の中に蔓延していて・・・
    前向きになれずにおります…
    それとは逆にこやまんさんは、私から見たら凄くアクティブな方だと思います。
    演奏会や慰問ライブなど社会貢献もされてますしトレッキングなどを通じて交友関係もたくさんあって
    羨ましい限りです。

    気を付けてはおられるでしょうが、お身体無理されずに楽しくお過ごしください。

  2. ブラックさん、こんにちは。

    保存期の戦いは続いているのですね。苦しいだろうと思います。
    でも、気持ちが持ちこたえる限り、がんばってくださいね。

    私の交友関係はかなり狭く、そのほとんどは「同級生」です。
    中学が2割、高校が8割かな^^;

    もちろん、そこから広がって音楽仲間はたくさんになりましたが、
    音楽のシーンに出かけていかなければ会わないですね。

    ましてや、
    長いサラリーマン生活でお会いしてきたたくさんの人たちとは、
    もうまったく会うこともありません。

    交友関係って何なんでしょうね^^;

  3. 同じような定年後の生き方を選択したものとして
    どれも「あるある」のエピソードですね。(笑)

    僕はなんとか健康で過ごしていますが
    社会的保障は病気の方よりは当然少ないわけで
    さだまさしじゃないが、運がいいとか悪いとか言ったところで
    漂いながら過ぎていくしかないんだろうと思っています。

    雑事・雑念はあるにしても、
    自分なりのペースで生きていければ
    それだけでめっけもんだと思うようにしています。

    頑張らないで生きていくことも
    意外とむずかしいと時々思う今日この頃です。(笑)

  4. 大石さん、こんにちは。

    「自分なりのペースで生きていく」そういうことなんですよね。
    その「自分なりのペース」っていうのがどういうペースなのか、
    一年もかかってやっと見えてきたのかなって感じです。

    それも、今はそう思っていても、実は違うのかもしれませんが^^;

    頑張らなくてもいいでしょって吉田拓郎が何年か前に歌っていたのが、
    やっと身に染みています。

  5. こやまんさん、初めまして。
    透析やシャントについて調べていて、このブログに辿り着きました。

    去年の夏に腎生検を受け、IgA腎症だと診断されました。当時は「腎臓はもって10年くらい。そこから先は透析を視野に入れましょう」と言われていたのですが、それから一年経つまでの間に血液検査の数値が急激に悪化し、少し前にシャントを作成。明日から透析開始が決まってしまいました。
    私が思っていた不安や怖い気持ちを、こやまんさんのブログにはほぼ全て書いてあって、とても共感しながら目を通させて頂いて、勇気をもらっています。(私も注射や点滴は怖くて見られない人ですから…)

    また気持ちがしんどくなったり、勇気が欲しくなったらブログを読みに来ます。
    無理なさらず、のんびりと続けて下さると嬉しい限りです。

  6. 狗尾草さん、はじめまして。
    よく寄ってくださいました。

    そうですか、透析になってしまいましたか。
    不安だらけですよね、きっと。

    私もそうでしたから、
    今はどんなアドバイスも心に響きませんね、必死ですもんね。

    落ち着いたら、いや落ち着かなくても、何か発信する気持ちになったら、
    ひょっとしたら、発信せずにいられなくなったら、どうぞまた寄ってください。

    待ってますよ。

  7. こんにちは、私は昨年人工透析を始めました。人工透析なんてイヤでイヤでたまらなくイヤだったのですが尿毒症の症状が怖くて寝ている時に内蔵のどこかがズキっとして、痛くて寝られなくなりました。そこで、病院に行って人工透析をしてくださいと頼みました。昨年定年して再雇用で働いてます。正直もう辞めたいです。

  8. たけるさん、はじめまして。

    人工透析の暮らしを始めたんですね。
    そうですよね、イヤですよね・・・・。
    でもこれは辞められない(移植という手段でしか・・・)。

    再雇用で働いているんですね。でも辞めたいんですね。
    僕も働くのがイヤで再雇用の道を選びませんでした。

    とりあえず、それから2年。
    今のところ、なんとか暮らしています^^

    60歳からの人生、考えちゃいますよね。

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