下肢閉塞性動脈硬化症の手術(6)ー便秘との闘いー

「出た?」
「いや、まだ…」
「下剤飲む?」
「ちょーだい!」

便が出ていないのだ。

手術してもう5日になる。お腹が張っているわけでもないのだが、うんともすんとも、うんこが出ない…

環境が変わると比較的便秘になりやすい。旅行なんかでも出なくなってしまうことが多い。それも2~3日ならさほど心配しないのだが、さすがに、5日ともなると…

努力はしている。

まず便座に腰を下ろす。これがなかなかで、右足の付け根に手術痕があるため、しゃがむと手術痕が痛いような突っ張るような抵抗がきて…

そして踏ん張る。これがまたなおなかなかで、お尻に力を入れようとすると、たちまち手術痕から抵抗がきて、へなへなっとお尻の力を抜くだけになってしまう…

仕方がないので肛門を刺激する。お尻シャワーの的を肛門にあて、ひたすら浴びせかける。と、もよおすような、朗報か?が、おならが出るだけ…

ヨーグルトだ、消化を助けてやろう。売店で購入して毎朝のご飯前に食べる。と、薬局から「リンが高いが何か食べたか」お叱りが来た…

それがこの5日間の…
奮闘努力の甲斐もなく今日も涙の…日が落ちる前になんとかもう一抵抗できないか、そうだ!

私には便秘と闘った過去の輝かしい勝利の体験があるのだ(その話はこちら⇒)。

お尻シャワーの強さを「強」にしてみよう。いつもは「弱」から2メモリ位のところにしているが、どうだ5メモリだぞ!

と、なんと、スゴい刺激だ!

何分位だろう、自動に制御されてシャワーが止まってしまった、使いすぎか…

と、いつになく大きなもよおしに襲われる…が、おならが大きかっただけ。と思いきや、親指大の便が便器に浮いてるじゃないか!出た!まじまじと見てしまった。もう少しで手で掬い上げて看護婦さんに見せにいくところだった。

こうなるとがぜんやる気が湧いてきて、「強」でもうひと刺激!

が、その日はそれまでだった…。

しかし、翌日からの臨戦態勢は戦闘意欲むき出しで、最初から「強」で攻め立てる。その上、昨日の感触で気をよくしているので、お尻に力も入って…いるような気がしただけで、成果は昨日より少量が絞り出されただけ…。

それでも、「出した」感覚をお尻が覚えたので明日は、明日のために、明日はどっちだ!

翌日、お尻の感覚を呼び覚ますようにシャワーは「中」から始める。と、きたきたきたきたー!ひとかたまりがお尻の穴を通過した!ここだ、これを切り落とそう。切り落として次のかたまりを誘い出そう。あまり大きいかたまりにしてしまうと、お尻が切れてしまう可能性がある、少しづつの連続技だ!

4~5回繰り返したか、次が誘われなくなった。ヨシ今日はここまでだ。

便器を覗くとまあどっさりな…思わず写真を撮って家内に送って自慢しようかと思ってしまうほどな…

はぁ、超えた、難関突破だ。
それが僕らの七日間戦争の顛末でした。

さあ、弾みをつけて退院へ向かう…はずなのが……

(つづく)

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