減塩・腹八分目のダイエット、
一週間くらいが経った頃だったろうか、変化が現れ始めた。
力が出ないのだ。
体全体に力がみなぎってこないのだ。
しゃべることすら、力が入らず、どもってしまうのだ。
おかしい、どうなっちゃったんだ?
もうダメなのかな・・・。
体に力が入らないと、気力も萎えていってしまうのだ。
「お医者さんに診てもらえば?」
妻も不安気だ。
同級生の医者を訪ねる。
「ち、力が、は、入らないんだ・・・」
どもってしまって、うまくしゃべれない・・・・・。
尿検査だったか血液検査だったか、どっちもだったか、
はっきりした記憶がないのだが、とにかく検査をしてみることに。
検査結果を診て、医者は言う。
「塩分が足りない・・・・・」
「え? た、足りない?」
「2gちょっとしか摂取してない」
「いいじゃん、は、8g以下だって」
「4gは最低必要なんだ」
「そ、そうなのか・・・・」
4g以上8g以下の暮らしをしろってことか。
ひたすらに塩分を取らない暮らしをしていた。
恐くて塩分を取ることが出来なかった。
まるで毒物のように塩分を嫌って避けて暮らしていた。
4g以上8g以下の暮らし
そんなの無理だ・・・・・・。
妻にもこれ以上の負担をかけられない・・・・・。
妻がノイローゼになってしまう・・・・。
どうしよう。
妻への負担を少なくする、上手い手立てはないものか。
塩を使わないようにしたらどうだ、家ではいっさい塩を使わない。
自分は、その味に慣れて、4g以上8g以下を体に覚え込ませる。
そうだ、それがいい。
どうしてそんな風に思ってしまったのか、 そのときは大まじめにそう思い込んでしまった。
「塩を使わないで料理してよ、それなら簡単じゃん」
「だけど・・・・・」
「みんなは、それに好きに味付けして食べて」
それまでは、減塩食と、普通食と、別々に作ってくれていたのだ。
塩を使わないで料理してもらって、
家族には後付けで味をつけてもらおうと思った。
単純にしなければ、妻に負担がかかる。
さらに、
漬け物、汁物、干物、練り物、
あきらかに塩分の多いものは、自分は食べないようにしようと思った。
塩分8gのダイエット生活につまづきはあったものの、
無理矢理なギアチェンジをして、
新たな減塩・ダイエット生活をスタートした。
(つづく)