母親を苦しめちゃいけない

透析導入のために2週間の入院をして、少しづつ透析に体を慣らしていく。

 

 

そこへ母親がお見舞いに来てくれる。

「どうだね?」

「順調なんだと思うよ」

 

「親戚の○○さぁは、透析から帰ると疲れて動けん、て」

「そう。慣れんでしゃきしゃきは動けないけど、言うほどじゃないよ」

 

 

母親を心配させるわけにはいかない。

 

 

「透析すりゃ、体は楽んなるだかね?」

「それが、よくわからんだよ。常に体が辛いわけじゃないしね」

「何時間やるだね?」

「今日は2時間半だけど、最終的に4時間になるだって」

「4時間もじっとしてにゃぁいかんだかね」

「そうだよ、こことここと、2本も針刺されてね、しかもふっといやつをね」

「イヤだやぁ、辛い思いするだもんで体ん楽にならんでどうするだね」

 

息子の病を母親が心配する。

それが息子には苦になる。

 

明るく居ようと思う。

こんな歳になって母親を苦しめちゃいかん。

 

が、

 

親思う 心にまさる 親心 今日のおとずれ 何と聞くらん

 

「大事にしないよ」

「うん、ありがとう、気をつけて帰ってよ」

 

母は、背中を丸めて帰って行った。

つづく

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