心臓バイパス手術(5)ー集中治療室で透析を受ける

心臓バイパス手術を終えて、集中治療室で。

 

「ご家族の方がお見えです」

集中治療室の決まった時間だけ家族の面会が許される。

「お父さん、大丈夫?」

娘がベッドサイドで手を握って声をかけてくれる。

「大丈夫だよ」

「痛む?」と妻。

「ぁあ」

その後ろに母親が、

「良かったやぁ、夕べ手術室からでてきた時は真っ青な顔色だったに」

顔色が普通に戻ってきていて正気がついたようだと安堵する。

 

家族は、一時間くらい居てくれただろうか、

また夕方来るといって帰った。

 

と、集中治療室へ透析の機材が持ち込まれてきた。

集中治療室で透析を受けるようだ。

ただでさえ、いろいろな管でがんじがらめのところに、

さらに透析の針で動きが封じられる。

 

って、もとより術後の傷痕が痛くて動けないが・・・・。

動けない痛みの腰と背中で4時間をじっと耐える。

 

「ご飯食べる?」

透析が終わるとご飯が来た。もうご飯を食べていいのか。

でも食欲が無く、ヨーグルトだけ食べさせてもらった。

冷たくて口が気持ちいい。

 

そして、夜。集中治療室の夜は長い。

 

「看護婦さん、背中が痛いよ」

「どうする?優しくする?強制的にやる?」

「どうせ痛いから、一瞬でエイってやってくれる?」

「じゃいくよ、しっかり脇締めて、傷口押さえて、いい?」

 

「それ!」

「ぅうわ~!・・・・・・・・・・・・ぁっ」しばらく痛みにじっと耐える。

 

寝返りを打たせてもらったのだ。一晩に何度か繰り返す。

 

「痛み止め、打とうか?」

「その痛み止めが痛いから・・・・・・、でも打って・・・」

肩への筋肉注射だ

 

なんでも透析患者はあまり強い痛み止めは打てないらしい。

腎臓に負荷がかかるから?

でも腎臓はもう動いてないんじゃないの?

 

痛み止めが弱いのか、あんまり効かない。

「もう一本、打つ?」

「いや、我慢する」

 

夜はなかなか過ぎていかず、

でも、そのうち少しまどろんだようだ、朝が来た。

 

つづく

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