2月で風は強いがよく晴れた日なので、今日もトレッキングに出かけた。
大尾山(おびさん)681mは、先日登った粟が岳の北の方にあり、
ここもやっぱり車で一時間ほどで行ける。
ならここの湯を通り過ぎて間もなくハイキングコースの入り口の案内がある。
ならここの湯の第三駐車場に車を留めさせてもらい歩き始める。
(帰りにならここの湯に寄らせてもらいますので^^;)
のどかな風景の集落を縫いながら5分ほど、ゆるゆると登ると、
大尾山登り口という案内が現れる。
舗装された道から分かれて、いよいよ登山道らしい様相に。
道に迷うことはないが、雨水の流れに削られたようなデコボコと荒れた道で、
杉の枯れ葉や枯れ枝が敷き詰められているうえに、木の根もにょきにょき顔を出している。
けっこうな急斜面のところもあり、単調な景色にぼや~っと歩いていると、
枯れ枝や木の根に足を取られかねない。
そして、登っても登っても変わり映えのしない同じ杉木立の中。
この登山道は、しばらく誰も歩いていないのかなぁ。
今日も歩き始めてからまだ誰にも会わないし・・・・・・。
しだいに山深くなって木漏れ日も地面まで届かなくなり、
なんだか薄暗く、手袋をしているのに指先が冷たくなってくる。
今日もやっぱりしんどくて、すぐに息が切れてしまい、
3分と歩き続けられずにすぐに立ち止まっては呼吸を整える。
立ち止まると風の音しか聞こえず、
木々のこずえは風にあおられて大きく揺れている。
時折、何かが通り過ぎるかのように風が降りてきて、
脇をさ~っと過ぎる。
きっと何か居る・・・・・・・。
怖くなる。
急ぎたいのだが、息が切れてすぐ休憩・・・・・・・。
と、あれ?沢かな?
沢だけど、枯れてる?
それでも単調な連続の中の変化にうれしくなる。
思わず近寄ると、わずかに水の音。
せめて、顔洗うくらい流れていてくれれば気持ちも潤うのに。
そして、ここは八丁の看板。
丸太の腰掛が用意してくれてあるので、リュックをおろして休憩とする。
(休憩はすでに数えきれないほどしているが、リュックをおろすのは初めて^^;)
登り始めてもう一時間も経ってしまっている。
(半分以上は休んでいた時間だけど ^^;)
八丁ってことは、八丁目ってことかな?
この八丁目っていうのは、
山の8/10の高さだよって意味なのか、
全道のりの8/10の距離だよって意味なのか、どっちなんだろう?
それとも、胸突き八丁という、残り8丁の急坂になるぞってこと?
そんなことぶつぶつ独り言言いながら、また歩き始める。
すこ~し、日差しが届くようになり、木々の向こうに空も見える。
山の頂上に近づいているってことかな?
と、なにやら赤い実が目に入る。
ナンテン?
何だか知らないけど、飽きた風景の中、赤の色が鮮やかに目に飛び込む。
花とか樹木とか、植物のことをもっと知っていたら面白いだろうにと思う。
正直、いいかげん単調で見晴らしのない風景に嫌気がさしてくる。
と、とつぜん広いところに躍り出た。
どうやら顕光寺の駐車場のようだ。
ってことは、まもなく頂上ってことだろうと、気持ちが軽くなる。
でも、駐車場にも参道にも杉の枯葉枯枝がびっしり敷き詰められていて、
ずいぶん長いこと人気がないままなのかなぁ。
それとも、ここ数日でいっぺんに風で舞い落ちたのか。
にしても、参道は山道化していっこうにお寺が見えてこない・・・。
椅子のような切り株が用意してくれてあるけど、怖くて座れない、
後ろは絶壁だし・・・・・。
さすがに頂上に近いのか風当たりがきつくなり、寒い・・・・・。
と、着きました、顕光寺!
でも、記憶のお寺と違う・・・・・。
15年くらい前、遠州はぐまの群生を見に車で来たはずなのだが、
その記憶と違う・・・・・・。
少し期待していたのに、なんとなく気落ちしながら先へ進む。
もう頂上は近いはずだ。
さらにまだ奥の社があるようで、階段が待ち受ける。
足を引きずるように登りつめる。
鳥居杉という立派な杉の木が鳥居のように立っており、
観音堂がひっそりとたたずんでいる。
なんとか着きました、ありがとうございました。
手を合わせる。
が、頂上の標識が見当たらない。眺望もまったくない。
でも、もうこれ以上は高いところも無さそうなので、ここでヨシとする。
少し下ったところにみはらし峠という場所があり、
そこが唯一眺望があったので、ここでおにぎりと熱いお茶を。
なんと、2時間半もかかってしまった。
登りのこの苦しさは、やっぱり心臓のせいだろうと自分に言い訳する。
(数年前に心臓の冠動脈3本をバイパス手術している)
帰りは来た道を下っていく。
登りほどに息は切れないが、膝がガクガクでたびたび休む。
あきらかに私より年配の人が後ろからみるみる近付いてきて、
あっという間に追い抜いて行った。
まるでグレートトラバースの田中陽希のような足取りで下って行った。
あといくつの山を歩いたら、
あんな風にさっさと歩けるようになるのだろうか。