心臓カテーテル検査の結果、心臓手術をしなくてはならなくなった。
市立病院でカテーテル検査のデータをDVDでもらって、
それを持参して隣市の病院へ出向くと、
血液検査、レントゲン、心電図と検査を廻される。
透析病院でも、循環器医院でも、市立病院でも、同じ検査が繰り返された。
しかも今回は、市立病院でのデータを持って来ているにもかかわらず。
まぁ、その辺の社会の仕組みの怪は横に置くとして、
しばら~く待って、やっと診てもらえる順番。
「すぐに手術が必要です」
「そう言われてきました」
「よく退院していいって言われましたね」
「はぁ(市立病院から救急車で来なきゃいけなかった?)」
「14日、月曜日に入院して下さい」
「はぁ(4日後か、すぐじゃないのか!)」
その間、少しでも痛めば、
すぐにニトロを服用して、救急車で来るように、と指導される。
ずいぶん深刻な状態にあるようだが、
ニトロといい、救急車といい、あまりにも自分の中では現実感を伴わない。
そんなことが起こるはずがない、と心のどこかでタカをくくっている。
翌日の夜、病院から電話があり、
「明日、入院して下さい」という。
病院の会議で、今予定されている手術の中で自分の手術が一番緊急を要すると、
判断されたのだそうだ。
「そろそろ行きましょうか」
10時に入院するようにという指示なので、
30分前には病院に入れるように出かける。
「携帯電話が使えない病棟だろうな」
「そうね、ペースメーカーの人もいるんじゃない?」
抱えている容態よりも、どんな手術になるのかということよりも、
連絡が取れなくなることのほうが気がかりだった。
仕事を休む段取りはつけてきたが、
公私において連絡が取れなくなることが気がかりで、
病院につくまで、車の助手席で、可能な限り思いつく限り連絡を取った。
何が大切なのか、まだ身にしみていなかった。
(つづく)