「地域おこし協力隊」という取り組みは以前から知っていた。
若者が、自分の暮らしや仕事や将来や人生に夢を描き、
希望と野望を抱いて、この仕組みをひとつのチャンスととらえ、
都会から地域へ移り住んで奮闘する。
素晴らしい、と他人事として称賛していた。
なのに、突然、興味が湧いた。
自分のこととして調べてみようと興味が湧いて、全国の募集状況を調べ始めた。
調べているうちに、なにが引き金で興味が湧いたのか忘れてしまったが。
退職したら、
浦安とか奈良とか京都とか北海道とか、
そんなところに一年づつくらいでいいので住んでみたいもんだなぁと、
かなり本気で憧れたりもしていた。
だけど、いざ退職が現実となった時、
急に経済的不安などで尻込み足踏み状態となり、
そのうち面倒くさいような気持ちに襲われ、
「まぁ、いいか、所詮、現実的じゃないってことなんだろうなぁ」と、
自分に言い訳なんかを用意し始めていた。
が、
「地域おこし協力隊」だ。
なにも、今後の人生や将来に夢や野望を描いているわけじゃ無い、
だけど、暮らしに少しばかりの希望を抱いただけ。
浦安とか奈良とか京都とか北海道とか、
住んでみたい憧れの地に住むことのできるチャンスのひとつなのかもしれない。
若者のようにこれをきっかけに起業や永住はできないけど、
若者にはない経験値のようなモノが役に立つのかもしれないし、
地域おこしとか情報発信とか、少しは経験値があるし、
そうだ、若者の後押しをしてやることくらいはできるぞ、と。
そう思うと急にそわそわして、さっそく全国の募集状況を調べた。
すると、あるある。
全国の地域で募集している。
浦安にはなかったが、奈良も京都も北海道も、あるある。
あらたに住んでみたくなる地域も出てくる。
が、
想定していた地域よりはるかに山間地域の市町村だったり、
ネットの情報だけでは透析病院があるかどうかも解らなかったり、
当然のごとく年齢制限もよくて50歳くらいまで、
勤務も月曜から金曜まで、それも朝から晩まで、・・・・・・・
そりゃそうだ、そう思いながらも、
それでもまだ期待がふくらんだままであきらめきれず、
税金を使っての事業だから募集要綱には四角四面のことを書くに決まってる、
だけど現実には透析治療のための融通とか特例とかがあるんじゃないか、
とまぁ、なんとも手前勝手な想像が膨らむ。
そこで、
いくつかの市町村に問い合わせのメールを出してみる。
年齢が60歳過ぎているだとか、
透析に通わなくちゃいけないだとか、
多少の地域おこしや情報発信の経験があるとか、
そういうことを書き連ねて、
応募してもまったくチャンスはないものか問い合わせてみる。
募集要項に書いてあるだろう、って言われてしまえばそれまでだし、
市町村の担当職員の手を煩わせて申し訳ないなぁとは思いながら。
捨てる神あれば、とか。
この夏は、
地域おこし協力隊の募集要項を読み漁り、
その地域をネット検索してあれやこれやその地域の情報収集したり、
あっちの村だったりこっちの町だったり、
採用されて移り住んで活動している場面を想像したりしている。
(つづく)