クリニックの都合と患者の都合

「お願いがあるんです」
看護師のリーダーが改まった口調で言う。

「なに?」
警戒しながら応じると
「昼の部に代わっていただけないかと…」


僕は当初から夜の部の透析に通っている。
夜の部の透析があったのでこのクリニックを選んだ。
(近いというのも重要な選択理由のひとつだが)

看護師曰く、
「夜の部の患者さんが増えて、看護師の数が足りなく……」
「もともと夜の部は働いている方を対象に……」
「昼の部でしたら月水金でも火木土のどちらでも……」

夜の部は働いている人を対象に、と言うが、
当初(13年前)、そういう話は聞いておらず、
4年前に定年退職した際にもそういう話はなかったわけで、
いつからそうなったのか知らないけれど、
それを当然のように言われても……

それに、夜の部でもベッドは充分に空いている。

それでも看護師さんは、役割として額に汗しながら話している。
看護師さんとしても話しにくいことなのだろう。
わかりました、話の趣旨は充分に理解しました。

「働く人が対象という話は聞いていませんでしたが、お願いの趣旨はわかりました。だけど、クリニックにはクリニックの事情があるように、僕には僕の事情があります。昼の部になれば、ほぼ一日何もできなくなるので夜の部の受診を続けさせてもらいたいです。夜の部がダメなら転院を考えるか……」

何度か都合で昼の部に透析を受けたことがある。
9:00スタートで14:00終了(5時間透析)で帰宅して概ね14:30。
透析の後はテンションも落ちていて、そこから動き出す気力がない。

以前に、透析の後、その足で旅行に出かけたり、
コンサートに行ったりしたこともあったが、
心身ともにテンションが上がらず楽しめなかった経験がある。

それから歳もとってきているし、
昼の部の透析の後は、
もう何もできずに一日が終わることになると思われる。

「透析の日は何もできない」というのは、
あまりに不自由で閉塞感満載でテンションが下がる。

透析がある日でも、
「昼過ぎまでは自由に何でもできる」と思っていられること、
その自由度というか解放感というか、
そのことが少しばかりでも精神的余裕をもたらしてくれる。

だからといって、
その昼過ぎまでの時間を使って、
何か具体的にどうしてもやりたいことがあるのかといと、
別にそういうわけでもない……。
何でもできる、という可能性を残しておきたいだけ。

だったら、
昼間に働かなくてはいけない人たちのため、
夜の部の患者の人数を減らすよう協力してやるか?

いやいや、
それはビジネスとして、
クリニック側の人員体制の整備の問題じゃないのか?
ベッドは余っているんだし……

死ぬまで付き合わなくちゃいけないクリニックと
うまくやってはいきたいけれど、
だからといって、自分の生活の質を変えたくはないし、
悩みは尽きない………。

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