右足の足の付け根から膝のところまで、人工血管でバイパスを通す手術をした。
グダグダ逃げ口上を並べたりもしたが観念した。
「先生、くれぐれも痛み止めを」
「約束する」
「膝のところの石も取り除くし、潰されたステントも切り除きます」
普通、挿入したステントを切り取るなんてことはしないそうだ。が、それによって血流が得られる可能性も無いじゃないとのこと。
え?血流が得られればバイパスは要らないってこと?よく判らないがまぁここは先生任せだ。
そう言っては失礼かもしれないが、先生手術大好きなのが感じ取られ、またそれゆえに自信に満ちていることも感じられる。
「時間かかりますか?」
「4時間くらいかな」
「前の手術がそのくらいでしたよ」
「あれはけっこう切ったからなぁ」
「傷15cmありました」
「最長記録かも」
先生嬉しそう…
麻酔科の先生から麻酔の事前説明があり、今回は割と大きな手術らしく、首からも何か入れるとのこと。それ聞いただけでもう恐くなっちゃったし……尿道に管も入れるとのこと。オシッコ出ないのに…
そうしてまた手術室の前で家内と手を降る。
「がんばって」
「ありがと、がんばるよ」
「じゃ ね」
何度めになるのだろうか、手術室の前で送ったり送られたり…
先生は手術室でスタンバイ状態で
「がんばりましょう!」
「よろしくお願いします」
手術台に乗って、いつもの通り裸にされあれやこれや体に付けられていく。
首から刺す管はいつ刺すのか、局所麻酔してからか、局所麻酔も痛いし…ってもう気もそぞろだ…
「眠くなる薬を入れていきますね~」
「あれ?首は?後か?あれ?……」
手術は始まったのだ。
(つづく)