病院間のお便り

透析クリニックと消化器内科の病院を行ったり来たりしてる。

貧血ということで関連が深いからか、行ったり来たりのたび、行先の医師に向けて病院間をお便りが行きかう。


いつも不思議に思うのは、そのお便りの内容が患者には明かされていないということ。きっちり封がされた封筒を渡され、子供の使いのように封筒を届けるだけ。なんとなく想像はつくのだが、内容を説明されたことは一度もない。

その日も大腸カメラが済んで、いつものようにお便りを透析クリニックへ届けた。

大腸カメラの結果は翌週に外来で聞くことになっているので、大腸カメラの最中に先生からぼんやり聞いた、血便の原因は見当たらないということとポリープのことしか承知していない。

透析クリニックの先生が回診してきて、どうですかといつも通りの質問をするので、その旨報告をする。と、お便りを読んで、
「…小腸の検査か……、あ、言っちゃった…」

え?なに?

小腸の検査をするってお便りに書いてあるわけ?
しかもそれは患者に言っちゃいけないことなわけ?
こりゃ、聞き捨てならないぞ!

「小腸の検査をするんですか?」
「フライングで言っちゃったけど、そう書いてあるね。胃カメラでも大腸カメラでも届かないんでね…」

もう検査はいささかうんざりしていて、痛みとか大変さとかをちゃんと確認しておかなきゃ!と頭をよぎる。

「大腸カメラみたいに、睡眠状態で検査するんですか?」
「う~ん、あれはカメラが勝手に……、飲み込むときにちょっと……、」と、先生、急に看護婦相手に知った者同士だけが解るような断片的な会話をして、患者の僕にちゃんと説明しないで行ってしまった。

なに!
腹が立った。

フライングだか何だか知らないけど、患者の僕こそ知る権利があるんじゃないのか!
中途半端な言葉だけ残して患者を不安にさせて、それが医者の態度といえるのか!

だけど、透析の機械に血管をつながれて横たわっている身で、大声を出すわけにも口論を仕掛けるわけにもいかず、不満と不安を押し殺した。

系列のクリニックから週に一度応援に来る先生だったし、

元より、一生死ぬまで一日おきにお世話にならなくちゃならないクリニックに対して、口ごたえをしようだなんてもってのほかと心しているわけで…

先生の回診に付いて廻っている看護婦のリーダーが、それでもマズいと察知したのだろう、後でやってきて、
「詳しいことは来週の外来で説明があると思いますから…」と。

何のフォローにもなっていない…。

その日の透析の残り3時間半、不安と不満と憤懣やるかたなしで、居ても立ってもいられぬ思いで、だけどまんじりともせず、いつものようにただジッと過ごした。

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