吉田拓郎『LOVE LOVE あいしてる』卒業

今年いっぱいで引退を表明している吉田拓郎が、KinKi Kidsの『LOVE LOVE あいしてる』で卒業SPとして最後のTV出演をすると聞いて、録画予約しながらもTVの前で待ちに待ってTVに張り付くように見た。が、

10年前?15年前?
透析生活者に陥って、仕事の一線を退いて、そのまま定年退職へ向かおうとしている頃、「ガンバラナイけどいいでしょう」という曲がリリースされた。もうそれは、そのタイトルを聞いただけで衝撃的でドンピシャで胸に突き刺さった。

なんてナイスタイミングなんだろう!ボクのために書いてくれたんじゃないだろうかと、期待に胸膨らませて歌を聞いた。が、
何かが違った。何が違うのかよく解らないけど、心に響かない…。

なんで?って考えた。少し後になって解ったような気がしたのは、響かないのは歌じゃなくてそれを歌う拓郎の力の抜け方に違和感を感じたんじゃなかったか、ということ。

何かに挑むような姿勢の中に、喜びや虚しさや怒りや哀しさなんかが歌いこまれてくる、なんかそんな感じの、ガキの僕なんかはいくら背伸びしても見ることができないし、ほんとは解りゃしない世界を拓郎は歌ってくれて、だけど、それに憧れて、一生懸命背伸びして、解ったふりして真似て聞いたり歌ったりするのが僕にとっての「吉田拓郎」だ。

がんばらなくてもいいでしょうと謳いながらも、がんばらないことに挑戦している拓郎を期待したのかもしれない。

その頃、まだ自分も、透析を受け入れ切れていなくて、がんばらないことや仕事もしないしイヤなことは何もしないってことに罪悪を感じるような、中途半端な迷いのただ中だった。

だから、「ガンバラナイけどいいでしょう」と、拓郎にしっくり感で妙に力を抜いて歌われてしまったんじゃ、しっくりくるわけにゃいかなかったのかもしれない。

と、少し違うような、だけど同じような違和感の『LOVE LOVE あいしてる』だった。

『ah-面白かった』も同様だ。

ライブをやるのは緊張するし上手く歌えなかったりギターが弾けなかったりするんだけど、そのライブが終わった瞬間に「あ~面白かったなぁ」って思えれば、それでいいよね、それがいいよね、最高の遊びだよね、とバンド「みなみ~ず」のメンバーと言ってきた。

ただ、もう15年くらい「みなみ~ず」でライブしてきているけど、そう思うようになったのはここ5年くらいかなぁ。ある程度の満足感や達成感がある中で「あ~面白かったなぁ」って思う。

そこへ、拓郎からの最後のメッセージみたいな触れ込みで『ah-面白かった』が発表されて、嬉しいやら悔しいやら…

が、今の時点では違和感だ。

「ガンバラナイけどいいでしょう」も今では違和感なく大好きな歌のひとつになった。歳とともに僕の心の持ちようが変わったのだろう。

おそらく、『ah-面白かった』も大好きな歌のひとつになるには、5年くらいの年月が必要なのかもしれない。

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