歳とってはじめたことー梅仕事ー

それまで梅干が食べたいなんて思ったことはなかったが、透析になって塩分を制限するようになって、梅干が食べたいと思うようになった。無いものねだりってやつかな。

土用の三日干し。梅雨が明けたら三日三晩天陽に干す。


実家の母親は毎年梅干を漬ける。それは知っていたが、どのようにするのかなんて聞いたこともなかった。が、何かのきっかけで梅を2キロもらってしまい、梅干は面倒そうなので梅酢味噌を作ってみた。

梅酢味噌は、梅1キロ、味噌1キロ、角砂糖1キロ、これが入る容器に少しづつ交互に重ねて入れて、あとは放っておくだけ(時々、様子見て容器をゆすったりはするけど…)。というネット検索で仕入れた一番簡単そうな方法で作ってみる。もちろん味噌は減塩で。

なんとこれが上手くできて、ソーメンのつゆにしたり、キュウリなどを漬けたり、けっこう重宝した。

残り1キロは、家内が梅ジュースを作っていて、これも旨かった。

気を良くして翌年の梅の頃、母親に梅干はどうするのか尋ねたのが事の始まりで、梅仕事に精出すことになってしまった。

この「梅仕事」という言葉も気に入った。梅干も梅酢味噌も梅ジュースも、梅のこの時期に梅と向き合う、古くからの趣に満ちた生活感のある言葉だなぁと思う。「土用の三日干し」などもなかなか震える言葉だなぁと思う。

ネット情報では、アルコール消毒だ、重しだ、なかなか七面倒臭いことが書いてあるが、母の方法は実に簡単だ。

1.梅を洗ってヘタを取り除いて梅を乾かす(水分を拭きとる)
(梅は完熟が望ましいが、青い場合は1日2日水に浸けておく)
2.梅が入る漬物用ビニール袋に梅と適量の塩を混ぜる
(母は15%とか言ったが、私は減塩を意識して8%にした)
3.よく混ぜて、なるべく空気を抜いて袋を閉じる
4.風の通る冷暗所に保管し、毎日一回くらい梅を混ぜる
5.梅酢が充分にあがってきたら、紫蘇を塩揉みして混ぜる
(塩揉みした紫蘇が市販されてもいるし、紫蘇は入れても入れなくても良いとのこと…)


6.天日に干す
(通常は梅雨明けになるが、三日以上晴れが続きそうな時を見計らって干す。が、干さなくても構わないとのこと…)

7.保存容器に保存して完了!
(乾いたまま保存しても良いし、梅酢に戻しても良い。好みで)

そうして、梅干作りも3年目を迎えると、近所の梅をもらったり、南高梅を仕込んだりと、慣れたものになり、6月から7月にかけて一年分様々な梅を10キロほども仕込むようになった。

一個一個ヘタを取ったり、一個一個水分を拭きとったり、一個一個天日に干したり、紫蘇の葉をもいで洗って塩もみしたり、天日の梅を一個一個裏返したりと、出来上がりに思いを馳せながらの作業は、別に急ぐこともない暮らしの中で、実に味わい深いもんだなぁと思う。

そして、きっと喜んでくれるだろうと想像を豊かにしながら、迷惑顧みず、無理やり知り合いにあげたり、孫たちの酸っぱい顔を思い浮かべながら子供たちに送ったりもする。

もちろん、自分は普段の食事は減塩なので梅干は食べられないが、透析の時に持って行って、透析途中の食事の際に必ず食べることにしている。塩分は透析で持っていかれちゃうんでね(多分…)、思い切って2つ食べちゃうこともある。

歳とってはじめたこと。6月から7月は梅仕事に精を出す。

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