子供のころ、干し芋はよく食べた。
というか、そんなものしか食べるものが無かったという方が正確な話かもしれない。

だから、というのもおかしいが、大人になって干し芋を食べようとはほとんど思わなくなった。が、
実家の母は、毎年干し芋を作り続け、うちの家内も、子供たちも、孫たちも大いに喜んでいる。干し芋は大好物のひとつに堂々と君臨する。
都会で暮らす孫たちは畑で大きいばぁば(母)とお芋を掘るところから大いに楽しんでいる。
それに付き合いながら、いいもんだ、いい風景だと感心しているうちに、掘った芋を蒸かす、蒸かしたら皮剥いてスライスして干すという干し芋つくりの一連の作業に巻き込まれた。
掘りだした芋は、すぐに食べてももちろん美味しいが、よく乾かして軽く土を払って、新聞紙などにくるんで段ボール箱にでもいれて、風通しのよい場所でひと月くらい保存しておくと甘みが増すらしい。
冷たい乾いた風が吹いてきたら、いよいよ干し芋作りに取り掛かる。

よく蒸かして、熱いうちに皮をむく。なぜ熱いうちかというと、熱いうちの方が皮が剥きやすいからだろうと思う、多分…。なにせまだ4年めの初心者なので本当のところはよく解らず、母親の言う通りに真似ている。
針金をピンと張ったスライサーで芋を5~10mmの厚さにスライスする。その厚さは乾かし易さとか食べ易さから落ち着いた厚さなのだろう。
スライスした芋を天日に干す。
うちでは、風が強くて芋が舞ってしまう恐れもあるので干し網を使っている。
一枚一枚丁寧に並べて片面2日ほど干し、ひっくり返して1~2日干して干し芋の完成だ。
今や、干し芋は高級品になってしまっていて、余計に子供たちも孫たちも間違いなく大喜びなので、作り甲斐もあるというものだ。
まだ、さつまいも作りにまでは手を出していないが、いずれは手を付けることになるだろうと思う。
歳とってはじめたこと。11月12月は、干し芋つくりに精を出す。