「僕は尿が出ないからさ…」
「え?そうなの?」
僕が透析に通っていることを充分承知している友人からの反応に、「透析」って思いのほか理解されていないんだと、今更ながらに改めて思い知った。
そりゃ無理もない、自分だって透析になる前は何の知識もなかったわけだから…。
「糖尿ってこと?」
「そうじゃないよ、腎臓が働かなくなっちゃったから透析するわけでね…」
ちゃんと、でもできるだけ簡単に説明しようと思った。
「腎臓は、余分な水分とかを濾しておしっこを作るんだけど、腎臓を壊しちゃってそれをしなくなっちゃったんで、代わりに透析でその役目を補ってもらってるってわけでね。だからおしっこも作らない、おしっこは出ない、ってわけ」
リンとかカリウムとかってこの際余計な話はやめておいた。
「へぇ~、そういうことか」
「そういうことなんだよね」
「じゃ、透析じゃ無い日はどうなってるの?」
「血液の中に水分をため込んじゃってるだよ」
「なんだか危ない感じじゃん」
「危ないね、だからあんまりがぶがぶ水を飲むわけにゃいかんだよ」
「水分制限か…」
「そういうこと」
「大変だなぁ…」
「もう慣れたけどね…ときどきはね……」
大変な話をし出せばキリがないのでやめておいた。
でも、何が大変なのか、何で大変な思いをしているのか、少しでいいから解ってくれていると嬉しいなと思った。