ムツゴロウさんが死んじゃった…
青春の頃、それは高校生だったか、大学生になっていたか、記憶が定かではないが、ムツゴロウさん(畑正憲さん)の本を読んでショックを受けた。
青春記、結婚記、放浪記、無人島気、動物王国、etc…
ムツゴロウさんは、ケタ外れの生き方を魅せてくれた。なんていう人生なんだ、そんな生き方があるのか…、スゴい刺激で夢中にさせてくれた。
大学生の時の北海道旅行では、根釧原野をバスの窓に眺めながら、浜中の動物王国に思いを馳せたりもしたっけ。
なのに、
ボクは、何のとりえも身に付けずに大学を卒業して、何の志も無く就職をして、ただ目の前の仕事を必死にこなして、50歳で体を壊すまで仕事に翻弄され続けてしまった。
でも、体を壊してからは、自分の人生を大事にしようと少しだけ意識して生きているが、ムツゴロウさんを思い出すことは無かった。
が、そんな頃に、ムツゴロウさんの講演会が磐田で催され、娘と一緒に聞きに行った。
それは改めてのスゴい刺激だった。
やっぱりケタ外れだが、その考え方、生き方、大いに胸を打ち大きく納得させられた。
その刺激があったのだろうか、娘は親から見ても楽しそうな人生を送っているように見える。
自分はというと、人生まだ迷いの中だ…
ムツゴロウさんが亡くなったニュースに触れ、押し入れに眠っていたボクのムツゴロウを取り出してきて本棚に並べた。
そして、「ムツゴロウの青春記」を開いてみる。
50年近くも眠っていて、すっかり色褪せてしまったページに、なんとも小さな文字が並んでいる。当時はこんな小さな文字だったんだ。老眼には厳しいが読み始める。
色褪せない、新しい物語が始まった。