透析導入のために2週間の入院をして、少しづつ透析に体を慣らしていく。
「少し頭を起こしてみる?」
「起こしていいの?起きたい」
看護婦さんがベッドの頭の部分を起こしてくれる。
「どう?気分わるくない?」
なんともないが、頭を起こすと気分が悪くなることが考えられるってことか。
そんなこと意識させるものだから、
気分が悪くなることを想像してしまい、 起こした頭が動かせない。
それでもテレビが見やすくなり、気分は明るくなった。
「少しくらい動いても大丈夫だからね」
「え?いいの?」
動いてはいけないのかと思って、体全体を硬直させていた。
刺された針から呪文をかけられたようにじっと動けずにいた。
太い針が二本も刺さっていたんじゃ恐くて動けないからね。
後から知ることだが、
ベッドではなく、椅子で透析治療を行う病院もある。
椅子といってもリクライニングで横になることもできるのだが。
どういう姿勢がいいのか、ほんとうのところはよく知らないが、
要は、刺された針が安全に維持できる姿勢なら、
寝てても、腰掛けてても、立ってても、きっと構わないんじゃないのかな?
(つづく)