透析導入のため、2週間の入院をして、透析に体を慣らしていく。
「ドライウェイトが決まったね」
透析室の看護婦さんに言われて知る。
何か、医師からしかるべき説明はないのかなぁ。
「63.7kgね」
「そうですか」
それをどう評価していいのか、まったくわからない。
それでも、この体重がすべての基準になる。
この体重よりオーバーしてしまった分を透析によって落とすのだ。
透析から透析の間の、食事は水分の摂取量が問題になる。
とにかく摂り過ぎちゃいけない。
塩分とかの食事制限に加えて、水分まで制限される。
透析前に抵抗していた減塩生活の方が楽だったかも。
ただ、まだオシッコが普通に出るので、
水分は、今のところ制限の必要も無いようだ。
透析が進むと、オシッコが出なくなるのだそうだ。
透析が進むと?
腎臓が機能しなくなると、じゃないのか?
オシッコが出るということは、腎臓が機能してるってことか?
腎臓が機能してるんなら、透析の必要は無いんじゃないのか?
後戻りできないところまで来て、後ろを向いている・・・・。
「ドライウェイトが63.7kgだって」
妻にも報告をする。
「ドライウェイト、決まったのね」
「知ってるのか?」
「少しは勉強するでしょ」
「・・・・・・・・」
透析に対する気持ちの準備をしなくちゃいかんと、
そういう思いばかりで、何も透析の知識を得ようとしていなかった。
その上、気持ちの準備もできないままで・・・・・。
入院中に勉強をとか思いながら、それも逃げてしまってきていた。
どうやら、誰も教えてくれそうにない。
自分で勉強するしかないようだ。
(つづく)