透析導入のために2週間の入院をして、少しづつ透析に体を慣らしていく。
2時間からスタートして、30分づつ透析時間を延ばし、
いよいよ本番と同じ、4時間透析の日となった。
「あっ、ごめんなさい!」
「えっ?」
穿刺(針を刺すことを穿刺(せんし)というらしい)に失敗したという・・・。
「差し直すね、ごめんね・・・・」
一回余分に痛い思いをしなくちゃいかんのか・・・・。
って、麻酔シールは2カ所しか貼ってきてないよ。
ってことは、麻酔シール貼ってないところに刺すってこと?
看護婦さんが交替した。
「あっ、ごめんなさい!もう一度やらせて」
ぇえ~、勘弁してよ、もう体中汗びしょびしょだよ・・・・。
また場所を代えて、刺し直す。
もうしびれてしまっていて、痛いんだかなんだかわからない。
いや、痛い、確実に痛い。
汗でパジャマまでびっしょりだ。
緊張するのは、患者側だけではないようだ。
ベテランの看護婦さんも緊張はするようだ。
お互いの緊張が緊張を増幅させるのかもしれない。
でも、痛いのは患者側だけだ・・・。
「大丈夫?指とかしびれてない?」
「腕中じんじんしていてなんだかよくわかりませんが、大丈夫です」
男の子は泣いちゃいかんと教わった。
穿刺に失敗したところには湿布を貼られたが、
翌日になって、腕中が紫色に腫れ上がってしまった。
ただでさえ、痛くて戦々恐々としているのに、
こんな失敗を重ねられたんじゃ、透析に通うことがストレスになってしまう。
(つづく)