シャント再手術(3)ーうまくできました

シャントの再手術のため、手術室に入る。

 

一年半前のはじめてのシャント手術と同じ細い十文字のベッド、

それを照らす大きなライトが天井からつり下がっている。

 

今回はもう先生がスタンバイしている。

 

左手は手術、右手は血圧、とベッドに十文字に張り付く。

「では、始めて行きましょう」

「お願いします」優等生の患者は返事がいい。

 

「麻酔を打ちますよ、チクッとします」

歯を食いしばる。恐いし、痛いのは嫌いだ。

3刺しくらいで感覚がなくなった。

 

電気メスだろうか、モーター音のような音が聞こえる。

はじめてのシャント手術と違って、少し周囲を観察できる。

 

ヂヂヂヂヂっ

 

え?切ってる?

切ってるぅ~、切ってる音だぁ~

ん?焦げ臭い?ほんとか?

 

あちこちに気が回って、かえって恐い・・・・・・。

 

「大丈夫?静脈の処置が済みましたから、動脈になりますよ」

緊張した面持ちだったのだろう、看護婦さんが声をかけてくれる。

 

余計に想像力がたくましくなる。

 

ウィ~ン、ヂヂヂヂヂ

動脈を切ったか?

 

その時、ビクンと手術中の腕が跳ねた。

 

「ぁあ、ごめん、痛かった?」

と、痛みが走った。

 

びくびくしているので、

押さえられたり引っ張ったりされただけでも痛みに感じるのだが、

確かに痛みだ。

 

神経を触ってしまったらしい。

 

もう一度、局所麻酔をしてくれたようだ。

すぐに痛みは治まった。

 

もうこのまま痛まないで終わって欲しいなぁ。

そうだ、気を紛らわせるように歌を歌おう、歌を。

アップテンポの歌がいいな、何にしようかな、え~っと。

 

「心臓バイパス手術の時は、どの血管使った?」

「両脇のところの動脈と右足の静脈です」

「そうか、動脈は持って行かれなかったんだ、良かった」

 

何が良かったのか解らないが、

手術中に先生と話をするなんて画期的じゃないか!

声を出したら緊張感が緩んで歌のことは忘れた。

 

「大丈夫?動脈と静脈をつないでいますからね、あと少しね」

「はい、ありがとうございます」

 

「大丈夫?皮膚を縫ってもう終わりですからね」

やった、終わりだ!

 

「はい、終了です。うまくできましたからね」

「ありがとうございました」

 

一回目よりずいぶん短く感じた。

手術室の時計を見ると、手術時間48分となっている。

腕の良い先生だと、かつての主治医から聞いている。

 

「これで、今夜は普通に透析できますよ」

え!えええ!

動脈から強制的に透析、という荒療治は受けなくて済む?

ほんと?

やった!うれしい!

「ありがとうございます!」

 

つづく

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