「あれは痛いぞぉ」
「二度とやりたくないなぁ」
待合室にアドバイスの花が咲く・・・・・・。
はじめての風船治療を受けることになってしまった。
シャントの一部が細くて、3ヶ月に一度の血管造影検査を受けていた。
その結果が、1.9mmで、風船治療を受けることになってしまった。
はじめての血管拡張術(PTA、俗に風船治療)に臨む。
「リラックスしてね、音楽でも聞きながらね」
たしかに手術室にはヒーリング系の音楽が流れている。
先生と看護婦さん2人とレントゲン技師とに取り囲まれ、
シャントの手術と同様に、ベッドに十字架状態で観念する。
左手をガーゼで覆うようだ。
「グーにする?パーにする?」
「え?何か、変わる?」
緊張の度合いとかが変わるのかもしれない。
「変わらないかな・・」
「グーにする」
ギュッと力を入れて堪えなくちゃいけない瞬間に備えなきゃ。
その左腕が念入りに消毒されて、まずは麻酔注射を1本。
麻酔注射が必要なほど痛いのかと想像が膨らむ^^;
前腕に手術用の針が刺される。
いつもの透析の針よりも太い針のようだ・・・。が、
麻酔のおかげかほとんど痛くない^^v
造影剤だ、カテーテルだ、何だかんだ・・・、
聞くともなく一言も聞き漏らすまいと神経を集中させる^^;
「ちょっとチクチクするからね」
チクチクって、どの程度のことだ、痛いか、大丈夫か?と、
そうは思ってもそうは言えない優等生患者は、
「はい」
神経を集中させ、びくびく様子を伺う、体に力が入る。
グーにしておいて良かった。
「大丈夫?楽にして」
力が入りすぎたか?^^;
「はい」
「バルーンはまだだからね」
そうか、まだなんだ、痛いのはこれからなんだ。しかし、様子がおかしい。
「あれ?コラテだね」
「ここからコラテか?」
コラテ?
後から調べたところ、側副血行路といい、本流ではない血路のことらしい。
あっちの角度から、こっちの角度から、レントゲンを覗き、
こっちを押さえ、あっちを押さえ、試行錯誤を繰り返しているようだ。
しばらく試行錯誤が続いたのち、
「ふんごう部から入れ直そう」
やり直しか?ふんごう部ってどこだ?
(後から調べたところ、吻合部と書き、血管を繋いだ場所のことらしい。)
「麻酔を打ちます」
え~?ほんとにぃ?麻酔からやり直しぃ?
「はい」
それも手首の方じゃないか、そっちはもっと痛いじゃん・・・・。
ギュッと力が入る。グーにして大正解だ・・・。
手首に手術用の針が刺され、 造影剤だ、カテーテルだ、何だかんだ・・・。
先ほどと同じことが繰り返される。
もちろんチクチクという痛みなんかもして。
「じゃ、バルーンね、大丈夫? ちょっと痛いよ」
いよいよだ、いよいよギュッと力を入れなきゃいけない時だ!
「はい」
「60秒ね」
60秒も痛いのか?と、思ううち、
重みがかかるような感覚から鈍~い痛みに変わっていく。
「大丈夫?」
ここは痛いって言わなきゃ、言った方がイイって看護婦さんも言ってた。
「痛いです」
「がんばって」
なんだ、痛いって言っても加減は無しか・・・。
頭の中で60秒を必死にカウントダウンする。
ず~んとした痛みが続く。
「はい、じゃちょっと戻して、もう1回」
もう1回ぃ?まだやるのかぁ?
「30秒」
こんどは30秒か、カウントダウンだ、29、28、27・・・、
「はい、終了です」
はぁ、良かったぁ終わりだぁ・・・。
「ぁりがとうございました」
「大丈夫?」
「汗びっしょりで・・・・」
「止血して終わりですからね」
目を閉じて体の緊張を解放する。
腕中が鈍く痛いような感じがする。
麻酔2本、手術用針2本、
30分位の間に4本も刺されちゃったんだから、痛いのも無理もない。
この後、透析室に移動して、もう1本打たれなきゃいけない・・・・。
はずだったが、1本で済まない事態が待っていた。
(つづく)