下肢閉塞性動脈硬化症の手術(2)ー地獄の苦しみー

ん?終わった?

もうろうとしている意識に手術室の気配が感じられる。

終ったらすぐに麻酔から覚ますって説明だった、覚まされてる?ん?
ベッドが動いてる?病室に帰る?ん?

もうろうとしてるな…

あ、女房だ!手を握った…良かった…

ん、痛い?痛い!!
痛い痛い痛い!痛い痛い!痛い痛い痛い痛い痛い!

う~ん!ヴーん!グゥーん!
痛い、言葉にならない、悲鳴がかすれる、体がのけ反る、体中に力が入る、歯を食い縛る、ぎゅっと目を閉じる、妻の手を握り締める、全身汗びっしょりだ、痛いー!

「どう痛い?」
先生だ!
「痛いで…す…う~ん」

なんとかしてくれ~!
「座薬入れるでね」
今からかよ!早くしてくれ!
「今効いてくるでね」
「30分位で…」
30分?!バカな無理だ耐えられん!
う~ん!痛いと言う言葉もでない、ただ、う~ん!と、もうずっと叫び続けてる。

「痛み止め打って」先生だ!
麻酔注射だな、してくれ、すぐしてくれ!

グッ!

知ってたけど、麻酔注射も痛い!
全身からさらに汗が吹き出す…

もうダメ…

寒い、汗が冷めてきた?ん?
痛みが少しひいてきた?
「効いてきたね、効いてきた!」
女房が言う。そうか効いてきたか、うん効いてきたな。握りしめてた手の力が弛む…

「あ、汗、汗ふいて」
「汗ね、汗ふくね」

身体中に流れている汗がいっぺんに冷えて寒くなってくる。

「痛がりなもんですから…」
妻が汗をふいてくれながら、先生に言い訳してくれているようだ。

それにしても、なんという痛みようだったんだ。こんなの経験がない、もう気絶寸前じゃないか、気絶した方がマシだ、こんなのありか…命綱にしがみついて、のたうち回って泣き叫び続けちゃったじゃないか…

(つづく)

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