入院の大部屋のコミュニティ

入院の大部屋がカーテン閉めっぱなしで、あいさつできないどころか、素性を知れないどころか、顔もろくに拝めないと前の記事でこぼした。
(その話はこちら⇒)

が、そうばかりでない事情の中に居る。

術後の個室から大部屋へと移動する際、ダメもとで希望を出した。

事前の偵察で、そこは4人部屋に一人きりの部屋なので窓際が空いているし、一人きりの人はカーテンを締め切っていないことを確認している。

なんと言ってみるものだ、オッケーが出た!してやったりと胸を撫で下ろしていると、移動日直前に二人になって窓際がふさがってしまった。世の中甘いばかりじゃない…。が、新しい人もカーテンを締め切っていない、希望の光だ。

しかして、移動の日。「こんにちは、今日からお世話になります、古山です、よろしくお願いします」カーテンが開いてるので容易に顔を除きながら挨拶ができた。「あ、○○です、よろしくお願いします」ふたりとも気持ちよく挨拶を返してくれる。

こうなればもうしめたもんである。病状の話題から始まり食事の話題やら素性も知れてくる。二人とも50歳台で僕より若い。

家内に言わせると、
「あらあら、こうるさい何とか爺になってるんじゃないの?」

いやいや、迷惑がられてる風には感じないけどなぁ…

なんとこの人たち、寝るときもカーテンを閉めない……
まぁいいけど…

朝もあいさつが気持ちいい。食事も旨いような気がする。術後珍しく食欲がなかったが、ここへ来て完食だ!

一人は、肩の骨折で翌々日に手術だという。すると、麻酔がどうの、何とか先生はどうなの、これは先に言っといた方がいいの、あれはダメだのと情報交換が始まり、手術の無事を祈る。これが大部屋の醍醐味だと思う。

さらには、透析に出掛けたりリハビリに出掛けたりの時には、「いってらっしゃい」「お帰りなさい」までかわす。
看護婦さんは「え~仲良し!」

そうかといって過度な干渉はなく、お互い割りきって適度にひとりの時間を過ごしていて居心地の悪さは微塵もない。

不思議なもんだ…

前の部屋はというと、新しい人が入ったが4人とも今日もびっしりカーテンを閉めている。

人の組合せの妙なのか、何かのきっかけの有無なのか、単に年齢のせいなのか、こんなにも違う環境になってしまう。

誰もがオープンな環境を望むわけではないかもしれないが、節度のあるオープンさは必要だと思う。

ひとりはお花屋さんだというから、退院したら花でも買いに寄ってみようという気持ちにもなる。

節度のあるオープンな環境は次の楽しみも産み出したりしている。

つづく

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