面会禁止の意味

血便が出て入院している。こんなコロナ禍で病院はどこも当たり前のように面会禁止だ。

なのにそれを破る輩が居る。

面会禁止は厳格で、洗濯物でさえ病院のスタッフを介在して受け渡しをする。

その日の夜、仕事を終えた家内が、洗濯物を持って病院に来てくれた。車で40~50分かかる。

病院のスタッフが部屋まで持ってきてくれて、洗い物とかを家内に持っていってくれる。

「荷物受け取ったよ、珈琲でも飲んで帰るね」

家内からLINEが入る。
病院の地下にはタリーズコーヒーがある。

「ボクも珈琲飲みに行こうか」
「ダメよ、正しい患者で居て」
「そうか…」
「それに珈琲もまだ解禁じゃないでしょ」

LINEのやり取りが続く。

「ちょっと、点滴した男の人とその奥さんと見られる人がタリーズに入ってきた!」
「なに!」
「これは正しく無いわよねぇ」
「よし!降りて行って注意してやる!」
「ダメよ!」
「そうか…」

確信犯だよなぁ。病室で会ってないからいいじゃないか、とか言うんだろうなぁ…。
そういうところから菌が持ち込まれるんだよなぁ。挙げ句の果てに、ちゃんとルールを守っている人たちまで巻き込んでいってしまう。

しばらくして、
「ぼちぼち帰るね」
「うん、ありがとう」
「がんばってね」
「ありがとう、気をつけてゆっくり帰って」
「なにか欲しいものあったら持ってくるから」
「ありがとう、大丈夫、何とかなる」
「じゃね、バイバイ👋」
「じゃ!」

家内はまた40~50分の道のりを帰って行った。

それにしてもタリーズのルール違反夫婦、このままでは気持ちが収まらず、体温計りにきた看護婦に訴えた。

コロナ禍では、正直者が馬鹿を見るみたいなシーンが露見する。全てが強制ではなく自粛だから仕方がないのだけれど…我が儘や勝手な理屈がまかり通ってしまう…道徳教育にまで暗い影を落としちゃうんじゃないか…余計な心配に心を痛めた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です