心臓冠動脈バイパス手術のため、隣市の病院に入院している。
「むだ毛を処理しておきます」
手術前日、恒例のむだ毛処理だ。
どの看護婦さんも慣れた手つきでサッとパンツをおろす。
おろされるこっちは慣れてないのに・・・。
「あれ?きれいね。そうかカテーテルやったばっかりね」
カテーテルの時もそうだったが、
この頃のむだ毛処理は、つるつるに剃ってはしまわないようだ。
高校生の頃、盲腸の手術の時は、カミソリでつるつるに剃ったように
記憶しているのだが。
しかして、いよいよ手術当日。
朝から、妻も娘も母親も病院に来てくれている。
これから始まる7時間ほどの手術を待機してくれるのだ。
急にそわそわしだす。
何かやり残しはないか、言い残しはないか、万が一のために・・・・・
往生際が悪い・・・。
手術室前の廊下で、
「それではここでご家族とお別れです」
「がんばってね。」「がんばってよ。」「がんばんなさいよ。」
ひとりひとり手を握って心配そうに見つめてくれる。
手術室に入り、扉がしまり、車椅子でしばし待機する。
テレビで見るような機材が並んでいるのをきょろきょろと見回す。
やがて車椅子が手術台の脇に付けられ、
「大丈夫?自分で上がれる?」
「はい、大丈夫です。」
手術台に横たわると、カテーテルの時と同様に、
看護婦さんたちがワッと寄り集まってくる。
あっという間にパジャマが脱がされ、
いろいろな機材が体に取り付けられていく。
麻酔担当の○○です、よろしくお願いします。
それでは眠くなる薬を入れていきます。
看護担当の○○です、よろしくお願いします。
名前を覚えられない・・・^^;
何だったか覚えがないけど、何か質問された。
リラックスさせようとしてくれてるんだなと思った。
それにしても脈絡のない質問だと3問目位に思った。
その後は覚えていない。
手術は始まったのだ。
(つづく)