大腸カメラによるポリープの除去のため準備を進めてきた。前日から便の調子がゆるくなる。一週間前からの服用が指定されている便を柔らかくする薬を控え、前夜の透析中に服用予定時間だった下剤も透析後の服用に切り替えた。
当日の朝は、指定通り薬を服用し、病院へ出向く。今回は前回には記憶がないほど便がゆるいので、早々に準備が整う予感がする(前回の話はこちら⇒)。
今回、一緒に取り組むのは10人で、9時30分に下剤服用が始まった。10分ごとに下剤をコップ一杯飲み、3回に一回は水だけを飲む。便がキレイになるまで繰り返す。前回は15~6回下剤と水を飲んだが、今回は予感通り9回で済んだ。前回はしんがりに近く、ほとんど待つ間もなく大腸カメラへと進んだように思うのだが、今回は待つこと2時間でやっと大腸カメラ。早く便がキレイになるのも善し悪しだ…。
担当の医師が他の検査に入ってしまったとかで、別の先生が担当してくれることに。こちらも若い先生だ。
医療に限らず、今はいろいろな技術が急速に大変革していると思われ、しかも技術は蓄積されず、まったく異次元の技術に塗り替えられてしまうことも多く、経験を重ねた老いた者の出番ではなくなっているような気もする。
それは、ともかく。
「眠くなる薬を入れて始めていきます」
前回同様だ。すぐに眠ってしまい大腸カメラが終わるまで記憶が無い。楽なもんだ。さぁ眠くなる……あれ、ならない…
「はい、入ります」
あれ、ちゃんと意識がある!いいのか?!
「はい!」意識があることをアピールするため、ちゃんと返事をしてみる。が、事態は変わらず、処置は始まった。
最初は、違和感があるだけで痛みはなかった。が、「う~ん」と声が出てしまう程度の痛いような痛くないような違和感だ。そのうち、痛みがし出した「う~ん」の声が大きくなってしまう。
と、看護婦さんが
「古山さん、ここちょっと痛いね、ガス出して、楽んなるよ」
体を軽く押さえながら声をかけてくれる。これが終始ありがたかった。痛いのが異常なわけじゃないと思えるし、体を触れてくれるのは何よりの安堵感だ。「手当」ってやつだ。
ガス(おなら)を意識的に出す。確かに楽になる感じがする。
先生と助手と何か会話があって、バチン!という音がした。ん?ポリープを切ったのかな?後でわかったことだが、ポリープを除去した痕をクリップで止血した音らしい。
何度かの痛みと、何度かのバチン!があって…
それにしても長くないか、もうずいぶん時間が経過しているようだが…。処置室の見えるところに時計は見当たらず、何時になるのか見当がつかない。
当初の予想では、1時スタートで、30~60分程度の処置で、そのあと60分ほど安静にして終了とのことだった。家内にはお迎えは3時頃にお願いしますと連絡してある。
ただでさえスタートが30分遅れている。家内に余計な心配をかけることになりそうだ。
同じ体制が疲れてきて、体の向きをかえさせてもらったりしながら、何度か「う~ん」と声をあげ、ガスを出しているうちに、それでもやっと終わりを迎えた。
「はい、終わりです、お疲れ様でした」
「ありがとうございました。いくつ取ったんですか?」
「4つです」
普通に会話ができる。結局眠くはならなかった。
「何時ですか?」
「3時半です。時間かかっちゃいましたね」
これから、安静室に移され、一時間の安静が必要だ。家内はもうとっくに来てくれているんだろうなぁ。携帯はロッカーの中で連絡は取れないし…。
どうしようもないので観念して、ベッドに横になり安静に過ごすこと一時間。もう4時半を過ぎている。が、会計書類の作成が長引いているとのことで更に待ち…。先に着替えさせてくれとお願いし、ロッカーで家内に連絡する。
家内もさすがに心配になったようで、僕がロッカーへ入るのとすれ違いに検査室の方へ様子を聞きに来ていた。
「さすがに、ね」
「ごめん、ごめん、連絡のしようが無かった」
「ごめんなさいねぇ、時間がかかっちゃってて」と看護婦さん。
なんだかんだ、病院を出たのは5時を廻ってしまった。
「晩ご飯、食べて帰ろうか」
「いいけど、食べられるの?」
終わったら何を食べようか、事前から食べ物もかなり制限されていた(その話はこちら⇒)ので、とても楽しみにしていた。が…(つづく)