定期検査で左足付け根辺りの動脈硬化が進んでしまっていることが見つかり、手術することになった(その話はこちら⇒)。
いよいよ前日となり入院。
病院の総合受付には、うちと似たような年格好の夫婦連れが何組か…。どこの親父たちも女房に連れ添われて風采が上がらなく見える。自分もそんな風に見えてるのだろうか…。
前回はコロナ禍で、家族も病室には入れなかったが、もうそれらの制限は解除されている。
案内された病室は4人部屋だが、先客は誰もおらず1人だけの個室状態。家内は持ち込んだ荷物をサッサと整えてくれる。
「さて、どうしよう?」
「特別に説明も無さそうだな」
「じゃ帰るね、連絡はいつでも取れるようにしておくね」
「ありがとう、頼むわ」
女房を”命綱”だなどと冗談半分で言ったりもしているが、こんなに入院が度重なると、もう完全に冗談なんかじゃないと実感する。手を会わせたくなる。
夜になって先生が病室に顔を出してくれた。
「古山さん、がんばりましょうね!」
「はい、よろしくお願いします!」
「大阪からみえる先生と一緒に手術します、特に問題はないね?」
「前回、麻酔注射が痛かったのが気がかりなだけです…」
言っても仕方ないけど軽く訴えてみる。
「そうか…、眠ってもらうか…」
先生、独り言のように…期待させるなぁ…。
しかして、手術当日。
ストレッチャーで手術室に運ばれる。前回は自分で歩いて行ったのに。
手術台に乗せられ、例によって体にいろいろ取り付けられて、準備が整う。
「眠くなる薬を入れていきます」
やった!これで痛いも何も知らぬ間にコトが済む。安堵で胸を撫で下ろす(両手とも動かせないが…)。
「それでは始めましょう、古山さん、がんばりましょうね!」
「はい、お願いします!」
麻酔注射の為の消毒が念入りにされる。でも待って、眠くなってないよ、なんとなく体はボワンとしてきたけど、あれ?意識はっきりしてるよ…。あれ?!
「チクッとします」
ダメだ、歯を食い縛る、両手の拳を握り締める、目を固く閉じる…。
チクッ
あれ?チクッ、だ。ここから痛くなるのか?あれ?痛くならない…
手術は始まったのだ。
(つづく)